思い立ったが吉日!

~40歳過ぎから始める新規就農~

“ふじ”がメインのりんご栽培に対する疑問と今後の展望

 

【りんごの贈答(お歳暮)と言えば “ふじ” が多い・・・ということ。
お中元・お歳暮を贈る習慣がない私は、りんご農家を志した時にそれを知りました。

“ふじ”は「おいしい」のはもちろん「貯蔵性(日持ち)がいい」「収穫時期とお歳暮時期が重なる」・・・などの理由からお歳暮商品の一つに選ばれ、一般的なりんご農家では“ふじ”を多く栽培している場合がほとんどです。

確かに・・・!!
何代にも渡り、りんご農家を営んでいる場合“ふじ”を注文してくれるお客さんがいて、“ふじ”をたくさん作り“ふじ”を直接お客さん販売できるため、
「“ふじ”は儲かる!」と皆さん口を揃えて言います。

でも、新規就農者はこの限りではありません
新規就農者は、すべてがゼロからのスタート。
りんごを買ってくれるお客さんもゼロからのスタートだからです。

にもかかわらず、空いている畑は “ふじ” ばかり
それは当然で、“ふじ”を直接お客さんへ販売していた農家さんが離農した畑だから。

 

最初に借りた畑(松川町)は“ふじ”畑全体70%以上を占めていました。
今の畑(中川村)に至っては、“ふじ”畑全体90%以上です。

こうなると“ふじ”の時期に作業が集中して、想像以上に大変です!

 

“ふじ”をほぼ100%直接お客様販売するなら関係ない話ですが、“ふじ”は12月になると一気に値が下がります(⇐ キズなどがある格外のりんご)。

11月の中~下旬からの収穫が始まった頃にはそれなりの値段が付いていても、12月になるとビックリするくらい値が下がります。

【“ふじ”がない時期は値が高く、みんなが出荷する頃には値が下がる】・・・という単純な理由ですが、“みかん”が最盛期になると、さらに値が下がります

りんご本当のライバル“りんご”ではなく“みかん”なんです。

 

直接販売できるお客様がいない新規就農者は、“ふじ”メインにしていると、忙しい割には効率よく儲からない・・・ということが、就農1年目を終えた頃から見えてきました。

 

そして、お中元・お歳暮を贈る習慣がない私が思う疑問が「“ふじ”の贈答文化は、いつまで続くのか」ということです。

りんく農園にご注文いただくお客様の場合、ご商売(自営業)をされているお客様からは“ふじの贈答”のご注文をいただきます

でも、私と同世代の方々や親世代の方でも、ご商売(自営業)をしていないお客様からの“ふじの贈答”のご注文はほとんどありません(ゼロではありません)。

「誰かに贈る」ではなく「自分が食べる」方々からの“ふじの贈答”のご注文は、ほぼゼロに等しいです。

これから新規就農してりんご農家を営む場合「“ふじ”は儲かる!」の言葉を鵜呑みにして、やみくもに“ふじ”増やしていく経営方針では儲からないと感じています。

生産者として、りんご作りは“贈答”を狙って作っていますが、それでもキズが付いたり、いろいろ訳アリなものも当然あります。

栽培方法選果の仕方にもよりますが、収穫したりんごの中から“贈答”として選ばれるものは決して多くなく、“ふじの贈答”をたくさん作るためには、より多くの労力をかけてさらにたくさんのりんごを作ることになります。

私たち夫婦2人労力では、ふじの時期に作業が集中しすぎることと、作業効率利益バランスに限界を感じました。

 

これらのことを踏まえ、就農2年目からりんく農園では“ふじ”90%以上作り変えています

りんごの品種を増やして「極早生種」「早生種」「中生種」「晩生種」と、それぞれの時期で作業分担できて収穫ができるよう、苗木を増やしています。

りんく農園にて直接ご注文をいただいているお客様は「中生種(シナノスイートなど)」「晩生種(ふじなど)」の販売がメインですが、「晩生種(ふじなど)」を縮小して、夏から収穫が始まる「極早生種」「早生種」を増やし、こちらもお届けできるようにしたいと考えています。

 

 “ふじ”はおいしいし日持ちがいいし、好きなりんごの一つです。
もちろん“ふじ”も作り続けていきますが、自分たちが長く農業を続けるために、20年後30年後を見据えて畑を作り変えています。

スーパーではなかなかお目にかかれないりんごも栽培予定なので、今後を楽しみにしていただければ幸いです!